大都市中心街の賃貸マンションに住んでいる人にとって、頭が痛いのが駐車場の問題です。マンション敷地内に必ず1台分のスペースを確保できるとは限らず、確保できても料金が高いのが通り相場。おまけに普段は乗る機会が少ない…こんな人たちの間で注目されているのが、カーシェアリングです。
カーシェアリングは、文字通り特定の車を多くの人たちで共同使用するシステムで、交通渋滞の解消と環境保全の一環として欧州で考案されました。日本には15年ほど前に入ってきました。当初は「共同使用」はなじみにくいと思われていましたが、賃貸住宅で水回りやリビングを共同使用する「ルームシェア」が人気を集めているように、マンション居住者を中心に「シェア」という文化が芽生え始めています。
居住者にとってのメリットは、車を持たないので購入費はもちろん、ガソリン代や税金、自動車保険、車検費用などのコストを大幅に削減できることです。もちろん、駐車場代もいりません。
カーシェアリングが普及するうえでの最大のネックである車を借りたり返したりする専用ステーションを、マイカー感覚で住んでいるマンションに確保できるのも大きなメリットです。マンション経営者にとっては、駐車場に割くスペースを減らすことができるので余った土地を有効活用できるというメリットがあります。
居住者のデメリットは、マンションに住む人たちの家族構成がそれぞれ違うので、乗りたい車が乗用車タイプからワンボックス、SUVなど多様になってニーズを満たせない場合があることです。
また、年末年始や大型連休などに利用希望が多くなることが予想され、それに対応するだけの台数を確保することが難しく、調整も大変です。マンション経営者にとっては、敷地内駐車場に空きが増えると駐車場収入が減ってしまう心配があります。
賃貸マンションでカーシェアリングを導入する場合の方法としては、管理組合が車を購入し、車の所有者として居住者に貸し出す方法や、管理組合がカーシェアリングの運営会社と契約して、そのシステムを導入して居住者に車を貸し出す方法などが考えられます。