マンションには共有部分となるエントランスがありますが、その建物のグレードを表現するスペースとも言える部分です。大型マンションなどではコンシェルジェが常駐したり、二階部分まで吹き抜けにしてエスカレーターが設置されたものもあります。このようにかなりの費用をかける建物も多く、その豪華さも大きなアピールポイントとなっています。もちろん、規模が小さなマンションであってもセンスの良さを感じるものもあります。そこで、住む人が安らぎと品格の良さを感じることができるようなエントランスの条件を挙げてみます。
規模に応じたスペースに品格を感じます
エントランスはマンションの顔とはいえ、その建物の規模に似合わない広さや豪華さを求めたエントランスはバランスの悪さを感じるものです。あるいはその逆に、少しでも住戸を広く確保するためにあまりにこじんまりとしたものも味気ないものです。規模に応じた広さを確保しつつ、ちょっとしたデザインのこだわりを持つエントランスには落ち着いた雰囲気を感じるものです。小ぶりなデザイナーズマンションにセンスの良いエントランスが多いのは、無駄なスペースを省きながらもデザインにこだわりを持つことが理由となります。
天井の高さは高ければ良いのか
天井の高さには開放感を感じるものです。それではマンションのエントランスもそうかと言うと、一概にはそう言い切れないものです。
例えば遅くに仕事から帰るシーンを想像してみます。ドアを開けて風除室に入り、狭いながらも高い天井の空間が明るく照らされている中に、なんとなく寂しさを感じる、そんな経験は無いでしょうか。これは、明かりの持つ特質ですが暗い外から、天井まで明るく照らされた空間に足を運ぶ。そこまでは良いのですが、妙に天井だけ高い空間には逆に狭さを感じるのです。
では照明を少し抑えれば良いのかというと、天井の暗さが気になるようになります。つまり、広がりの無さに対して高い天井は、明かりと広さとのバランスが良くないのです。スペースの広さと明かりのバランスもセンスの良さに結びつくことになります。
照明のセンスはエントランスの印象を大きく変えます
たとえ広くなくても豪華さがなくても、エントランスに品格を感じさせる演出をすることはできます。
『とにかく明るく』は避けるべきです。先ほどの例のように、夜の外の暗さとエントランスの明るさのコントラストがありすぎると、落ち着くことができません。ただし大型マンションのように広く豪勢な空間であるならば、逆に暗いと怖さを感じます。小ぶりで質素なエントランスこそ、照明に凝ることでセンスの良さを演出できるのです。
まず昼間は外の明るさに負けないほどの明るさを確保することが必要です。そして日が落ちて外が暗くなるほどにエントランスの明かりも落として落ち着きを感じさせるようにするのがポイントです。その中で、例えば観葉植物を置いてあるスペースがあれば、その一点は少し明るく照らすなどの工夫でセンスの良さを感じることになります。決して大型マンションのような豪華さは無いデザイナーズマンションに、どことなく風格を感じるのはこのような工夫がされていることが多いためと言えます。
照明のセンスを感じるデザイナーズマンション「KAMIMAEZU RISE」のエントランス
大型マンションのエントランス事情
最近では再開発に伴う形で、大型マンションの建設が増えています。その豪華さを表すかのように、エントランスも凝ったものを多く見かけます。十分な敷地が確保されていることから、エントランスへのアプローチから様々な工夫が凝らされたものを多く見ます。夜になれば煌びやかな照明に出迎えられるように、エントランスのドアへとアプローチが続くような物件も多くなっています。このスペースも気持ちを切り替えてクールダウンさせる効果を持つことになります。建築のデザインと人間の心理を理解した照明デザインなど、エントランスの設計にはかなりの労力と費用が費やされていることがわかります。