賃貸物件を探していると、「フリーレント」という言葉を目にすることがあります。その内容を見ると、一定期間は家賃が無料となっています。ここではなぜフリーレントで家賃が無料になるのか、何か注意すべきことがあるのかなど、詳しく説明していきます。
1 フリーレントって何?
フリーレントとは、マンションなどの賃貸物件において一定期間家賃が無料になる賃貸契約形態のことです。無料期間がどのくらいなのかは物件によって異なりますが、だいたい1ヵ月から長くて6ヵ月といった形です。
では一定期間だけ家賃が無料になると、その後の賃料が高くなるのかというと、そうではありません。家賃設定は周辺相場と変わりませんし、何ら不利となる条件にはならないものです。
ではなぜ、フリーレント物件では期間限定で家賃を無料にするのでしょうか。
これはそのマンションなどの部屋を貸す大家さん側の事情に理由があります。賃貸物件は場所によっては供給量が多く、借り手を探すのに苦労することがあります。賃借人がつきやすくする手段として家賃の値下げがありますが、これは長期に貸すとなると大家さんの負担が増えます。
そこで賃料を下げることなく賃借人がつきやすくなるように、家賃を一定期間無料にするというわけです。また同じマンション内で一部の部屋の家賃を下げてしまうと、ほかの部屋の人との不公平感が生まれてしまいます。場合によっては家賃引き下げの要求を受けることにもなりますし、結果としてさらなる負担増にもつながりかねません。
フリーレントであれば、単に無料期間があるだけではなく、そのための条件も付くので不公平感は生まれにくくなります。
一定期間だけ家賃が無料になる以外は、フリーレントは一般の賃貸物件と条件は変わりません。たとえば敷金と礼金は必要になりますし、仲介手数料も必要です。もちろん管理費も発生します。中には敷金も礼金も不要とする物件がありますが、それは珍しいケースであると考えてよいでしょう。
2 フリーレントのメリット
フリーレントのメリットは何といっても家賃負担が減ることです。そのため、まず引っ越しにともなう諸費用を安くできるので、まとまったお金を用意するのが楽になります。さらに引っ越しの機会に家電品や生活雑貨などを購入する費用も捻出できるでしょう。
また引っ越しシーズンのように物件がなかなか見つからない時期となると、現在住んでいる賃貸マンションをいつまで契約するのか、予定が立てにくいものです。そのため、前もって1ヵ月前に契約解除の申請ができないことによる家賃の二重払いというケースも出てきます。
フリーレント物件であれば、それまで住んでいたマンションの家賃が引っ越し後も継続したとしても、新しいマンションの家賃負担がありません。
3 フリーレントのデメリット
フリーレントのデメリットとして注意することは、契約の途中解約に違約金を設定しているケースがあるということです。
賃借人をつけるための競争力を高めたいという大家さん側の都合によってフリーレントを設定しているわけですが、早期に退去されると負担が大きくなります。たとえばフリーレント期間を半年とし、その半年が経過したところで退去されると、家賃はまったく入らなくなってしまいます。
そこで1年未満で契約を解約した場合には、違約金としてフリーレントで無料としていた家賃分を支払う、といった内容を契約書に記載するケースが多くなります。その内容に関しては物件ごとに違うので、契約書をしっかりと確認することが必要です。
また基本的にフリーレントを設定する物件は、賃借人がつきにくいものです。同じ家賃でも、住みやすさなどで満足度の高い物件が周囲にある可能性があります。家賃が無料となる代わりに、住みにくい点があっても妥協できるかどうかを確認する必要があるでしょう。
ほかにも、フリーレント物件はそもそも少ないというデメリットがあります。賃貸物件を探す場合には、通勤時間などを考慮してまず場所を選ぶと思います。そのエリア内にフリーレント物件があるとは限らないので、選びたくても選べないというデメリットがあります。
4 どんな人にオススメ?
とにかく賃貸契約時の費用を抑えたい、という人におすすめです。通常は賃貸契約時に、敷金と礼金、仲介手数料のほかに契約月の日割家賃と翌月の前家賃が必要です。さらに保証金や保険料など、総額にするとかなりの出費となります。
フリーレントであれば、日割家賃と前家賃がなくなるので、負担はかなり少なくなります。
あるいは引っ越しにともなって家具家電を揃えたいという人も、フリーレント物件で契約できればその購入予算を確保できます。新社会人や学生の人など、まとまったお金を用意するのは難しいという場合に役立ちます。
また1月から3月の引っ越しシーズンで物件を探す人にもおすすめです。現在住んでいる賃貸マンションの契約解除申請を前もって1ヵ月前にできなくても、あたらしい賃貸物件との家賃の二重払いが発生しないからです。
5 フリーレントで気を付けるべきこと
まず注意するのは契約書の内容です。通常は賃貸契約は2年契約となっていますが、途中解約しても違約金は発生しません。しかしフリーレントは多くの場合、違約金の条項が存在する場合があります。
問題はその内容で、違約金が発生する条件と金額は必ずチェックしておきましょう。違約金としては、家賃1ヵ月分としていたり、あるいはフリーレントの期間分を請求したりする場合があります。さらに契約期間についてもよく確認しておきましょう。何ヵ月未満の途中解約で違約金が発生するのか、違約金を支払ってもメリットがあるのかなどをチェックしておきます。
また基本的にはフリーレント物件は周辺と家賃単価は変わりませんが、中には高めに設定している場合があります。物件の広さや周辺環境など、家賃が高い理由があればよいのですが、単にフリーレントであるという理由で高めに設定していたら要注意です。
とはいっても、その家賃設定が妥当なものかどうかの判断は難しいものです。最終的には自分が納得できる家賃かどうかで判断するしかないでしょう。
まとめ
フリーレントは契約内容をしっかりと確認し、その内容に問題がないと判断すればお得な賃貸契約形態であることがわかります。物件数自体は少ないので、狙っているエリア内で見つかれば検討の価値はあると言えます。