引っ越しのための部屋が決まって賃貸契約を結ぶ時、必要書類の中に「住民票」があります。なぜ住民票が必要なのか、そもそも住民票とは何かを説明します。
また、住民票の取得方法はいろいろとありますが、その手順や必要となる書類についても解説します。さらに引っ越しをしたあとにも必要な住民票に関する手続きや、賃貸契約時に必要となる住民票のほかの書類についても説明しますので、スムーズに契約を交わすためにも参考にしていただければと思います。
まずは住民票についての説明をします。
1 どうして住民票が必要?
引っ越しのための物件探しで、気に入った部屋が見つかればまず審査を受けることになります。そして無事に審査が通れば、不動産会社で賃貸契約を行います。
ここで用意する書類の中に、住民票があります。住民票が必要な理由は、本人確認のためです。
本人確認のためには運転免許証なども提出するのですが、なぜ別に住民票まで求められるのでしょうか。
住民票にはさまざまな情報が記載されています。また、運転免許証だけでは現在の所在地までは確認できません。住民票は引っ越しをしたら必ず内容を書き換えるものなので、所在地の確認が確実にとれます。そのため、身元確認のために確実な情報を得られることが、住民票が必要になる理由となります。
部屋を貸す大家さんとしては、身元がきちんとわかる人に貸したいと思うものです。そのために、住民票の提出を求められることになります。
そこでいざ住民票を取得しようとしても、いろいろと疑問点が出てくると思います。
2 世帯全員の写し?世帯一部の写し?どちらが必要?
住民票とは、正式には「住民票の写し」と言います。これは住民票の原本は役所に登録されていて、この内容を転記したものをもらうことになるからです。
となれば、住民票の写しは原本の内容をどこまで記載するのかという話になります。住民票の写しには「謄本」と「抄本」の2種類があります。謄本は、世帯に住む人全員の情報を記載していて、抄本はその一部の人の情報のみを記載しています。
契約時に不動産会社に提出する住民票は、どちらを用意すればよいのでしょうか。
本人確認として求められる住民票には、引っ越しをする人すべての情報が必要です。もしそれまで家族と一緒に暮らしていた人が一人暮らしを始めるという場合には、自分の項目だけを記載した住民票抄本があれば大丈夫です。一方で家族全員が一緒に引っ越すという場合には、住民票謄本が必要になります。
ちなみに住民票にはマイナンバーを記載しているものもあります。申請の際には窓口で、記載したものと記載していないもの、どちらが必要かを問われることもあります。
賃貸契約の本人確認として使用するだけの住民票には、マイナンバーは不要です。別にマイナンバーが記載されていても問題ないだろうと、記載されたものを取得するのはやめておいたほうがよいでしょう。
マイナンバーが流出すると問題になるため、その取り扱いには注意が必要となります。不動産会社などでは、個人情報の取り扱いには神経を使っているものです。そこでトラブルを回避するため、不動産会社ではマイナンバーが記載された住民票を受け取ることを拒否するところもあります。マイナンバーは記載していないものを指定して取得しましょう。
3 代理でもらってきてもらう事はOK?
次に住民票の取得について説明します。忙しくて役所に行けない人はどうすればよいのかも解説しています。
3-1 住民票の申請は登録した市区町村役場以外でも
住民票(の写し)は全国の市区町村役場(市役所・区役所など)で取得できます。
住民票の交付請求は窓口で直接行うほかに、郵送申請や電子申請でも可能です。ただし、住民票を登録した市区町村役場以外は、窓口での申請のみとなっています。手数料は1通につき300円です。
3-2 申請時の本人確認のために必要な書類
住民票の取得に必要な書類は、市区町村役場で用意する交付請求用紙のほかに、本人の確認書類が必要です。
本人確認の書類は運転免許証など顔写真付きの書類が1点か、顔写真がないものであれば、被保険者証や年金手帳など法令に基づいて発行されたもの(2点必要な場合も)となります。
3-3 代理でもらうことは可能
仕事を途中で抜けることができないので、どうしても自分で住民票を取りに行けないという場合、代理人に取りに行ってもらうこともできます。
この場合、委任状が必要です。委任状は特に用紙が用意されているわけではありませんので、自分で便箋などに必要事項を記載しておきます。市区町村役場によっては、書式ファイルをダウンロードできます。記載する事項は次のようなものです。
- 窓口に来る人の氏名と住所
- 住民票に記載する人の氏名
- 続柄記載の有無
- 本籍記載の有無
- 通数
- 使用目的
3-4 郵送してもらう場合
本人が直接窓口に行けず、代理人に頼むこともできない場合には、郵送での請求もできます。
この場合、請求者と本人確認書類のコピー、切手を貼った返信用封筒と手数料の定額小為替(300円)を封筒に入れて住民票を登録した市区町村役場宛てに送ります。
3-5 コンビニでも取得できる
実は住民票は、コンビニでも取得できます。ただしマイナンバーカードを作成しておくことが必要です。コンビニのマルチコピー機で「行政サービス」ボタンを押し、証明書交付サービスを選択します。
次にマイナンバーカードを読み取り、証明書を交付する市区町村を選びます。暗証番号を入力したら、あとは指示に従って入力し、必要部数分の手数料を投入すれば印刷されて出てきます。
4 以前取得した住民票でもいい?
たまたま以前に取得した住民票が手元にあるという場合、そのまま賃貸契約時の本人確認として使用することはできるのでしょうか。
発行された住民票(の写し)自体に使用期限はありませんが、提出先の不動産会社では発行から3ヵ月以内のものを求めるのが一般的です。
これは、発行してからあまりに月日が経過していると、現状を反映していない可能性があるからです。よって、3ヵ月前までに取得した住民票であれば、そのまま提出することができます。
5 引っ越したのに住民票を移し忘れていた人はどうすればいい?
引っ越しをしたら基本的に、住民票を新しい住所に移さなければなりません。それも、転居してから14日以内と定められています。
もし住民票を移すことを忘れていた場合、5万円以下の罰金が課せられます。また、実際に引っ越しをした日を遅く記載して虚偽の届け出をした場合にも、同様に罰金の対象となります。
どのような理由があっても引っ越しをしてから14日以内に申告しなければなりませんが、もし期限を過ぎてしまっていても、必ず転入届を出すことが大事です。新居に引っ越した後はもちろんのこと、賃貸契約時に必要な住民票が前の住所のものであったならば、早急に手続きを済ませておきましょう。
手続きは、前の居住地の市区町村役場で転出届を出して転出証明書をもらい、その転出証明書と転入届を引っ越し先の市区町村役場へ提出します。転出届は郵送で送ってもらうことも可能です。また引っ越し日の14日前から転出証明書をもらうことができます。
ただし、次のような場合には住民票を移す必要はありません。
- 生活の拠点が変わらない場合
- 新しい住所には1年未満しか住まないと分かっている場合
6 賃貸契約時には他にどんな書類が必要?
今回は本人確認の書類として住民票についてご紹介しましたが、そのほかに賃貸契約時に必要となる書類も説明します。
・本人確認の書類
身分証明書として運転免許証や保険証などのコピー
・印鑑と印鑑証明書
印鑑証明書は居住している自治体で印鑑登録を済ませておけば取得できます
・収入を証明する書類
会社員なら源泉徴収票、自営業の人なら確定申告書の控えや納税証明書など
・銀行口座印と通帳
家賃の引き落とし口座となる銀行のもの
・連帯保証人の書類
連帯保証人が必要な場合に用意する。住民票や印鑑証明書、直筆のサインをした承諾書
まとめ
住民票は本人確認のために必要なものです。大事なことは、引っ越しをしたら14日以内に必ず転入届を出して、住民票を新しい住所に移しておくということです。忙しい場合には郵送で取り寄せることもできるので、引っ越しを考えているのであれば早めに取得しておくとよいでしょう。