今回は敷金についての話第2弾。「敷引き(償却)」についてお話します。
敷引きとは関西を中心に東海地方や九州地方に見られる商習慣で、具体的には「敷金3ヶ月分(敷引き1ヶ月分)」などと表記されています。
これは大家さんに預けた敷金3ヶ月分の内、退去時に1ヶ月分を修繕・清掃費用として支払い、残りの2ヶ月分を返金してもらうというものです。
ただし、ここで気をつけなければならない事が1つ。
極端な破損や汚れがあった場合、この敷引き分とは別に修繕費用を請求されることがあるという点です。この事は賃貸契約書に特約事項として記載されていることが多いので、お部屋を契約する際は賃貸契約書の内容を熟読していただき、内容を理解しておくことが大切です。
敷金・礼金0物件はここに気をつける
お部屋を借りるとき、例えば家賃7万円で敷金3ヶ月分、礼金1ヶ月分の物件の場合、敷金21万円、礼金7万円で合計28万円。これに加えて仲介会社に支払う仲介手数料や初月分の日割り家賃など、お部屋を借りる際はまとまったお金が必要となります。この初期費用がネックとなってひとり暮らしができない、住替えができない。。。という方も多いのではないでしょうか?
敷金・礼金0物件はその名の通り、敷金と礼金が0円の物件のこと。より入居しやすくするために、初期費用を極力抑えた物件となります。
さて、今回のテーマは敷金です。敷金を預けないということは何を意味するのでしょうか?
先回のコラムでは修繕・清掃費用負担のお話をしました。入居時に敷金を預けた場合は、ドアを破損など「故意過失」があったり、家賃の未払いがあった時、最初に預けた敷金より退去時に相殺されますので、後追いで代金を支払うケースは少なくなります。
敷金が0の場合はどうなるのでしょうか?
・・・そうです。退去の時にお支払いをしなくてはなりません。
一見お得に映る「敷金・礼金ゼロ」も、退去までを含む長い賃貸生活を考えると実は同じなのです。
退去時にいくら掛かるのかを見極める
理解しておくべき点は以下の4点です。
・敷金の有無、ある場合は何ヶ月分必要なのか?
・敷引き(償却)の有無
・別途クリーニング代支払いの有無
・原状回復工事についての記載があるか?賃貸契約書の特約を確認すること
これらのことを確認すると、入居後の使用状況にもよりますが、退去時にいくら必要なのか?どの部分を負担するのか?どのタイミングで支払うのか?をおおむね知ることができます。
最後に
さて、先回のコラムの「じゃあ、お部屋をキレイに使えば修理することはないから敷金は全額返ってくるんですね」の回答。
基本的な考え方は「イエス」です。通常にお部屋を使用しそれによって生じた汚れなどは「通常損耗」となり、その補修は大家さんの負担となるからです。ただし、賃貸契約書の特約等で補修に関しての記載がある場合(例えば畳の表替えは借主負担など)はあなたの負担となり、この場合は「ノー」となります。
敷金の返還をめぐるトラブルは本当に多く、訴訟にまで発展するケースも少なくはありません。このトラブルを避けるためにも、敷金、そして退去時の原状回復工事に関することを理解して、不明な点があれば不動産会社や大家さんに確認をすることが大切です。