賃貸マンションを借りる時に、コンロはIHコンロとガスコンロのどちらがよいか迷うことはないでしょうか。それぞれにメリットとデメリットがあるので、使い勝手の良し悪しが気になるところです。
そこで自分の料理のスタイルに合うのはどちらなのか、また料金の面ではどちらが得なのかがわかるように詳しく説明します。物件選びの参考にしていただければと思います。
1 IHコンロのメリット
IHコンロは火を使わないことがメリットであり、デメリットにもなります。詳しくみていきましょう。
1-1 火災の心配がない安全性の高さがメリット
IHコンロのメリットは数多くありますが、まず安全である点が挙げられます。高層マンションでは安全性を考慮してオール電化となっている物件もありますし、その場合には当然IHコンロを採用しています。
あるいは、高齢者が料理をする時に心配なのが火の消し忘れですが、IHコンロは一定時間スイッチを入れたままにしておくと、自動的にオフになります。またコンロ周りに可燃性のものを置いてしまっても、発火の可能性は低いといえます。
このように安全に使える点が大きなメリットといえるでしょう。また火を使わないので、キッチンが暑くなりません。夏場などはエアコンが届かない独立型のキッチンは、ガスだとかなり暑くなります。
1-2 細かな出力のコントロールができる
さらにガスと比べると火力調整を細かくできる点もメリットといえます。ガスはかなり火力を絞ると、消えてしまうこともあります。IHコンロであればわずかな火力のまま維持できるので、料理もしやすくなるでしょう。
肝心の火力がガスコンロと比べてどうなのかが気になるところですが、結論を言えばガスコンロをも上回る火力のIHコンロもあります。大きな火力を必要とする中華料理も問題なくできるでしょう。そして出力を最小に絞れば、とろ火の料理も簡単にできます。
掃除が簡単
IHコンロは燃焼しないので、コンロ自体が汚れにくいという特徴があります。そのために掃除も簡単に済ませることができるのもメリットといえます。表面もフラットなので、さっと拭き取るだけで掃除を済ませることができます。
ただし調理中に吹きこぼれがあると、汁が熱源と鍋の間でそのまま熱せられることで焦げ付きやすくなります。そのために、吹きこぼれには注意しましょう。
それでは次に、デメリットとしてどんなことがあるのかをみていきましょう。
IHコンロのデメリット
IHコンロは火を使わないことがメリットにつながりますが、逆にデメリットを生むことにもなります。
使用する調理器具や料理方法が限定される
IHコンロの大きなデメリットは、使える鍋やフライパンが限られることです。「IH対応」と記載してあるものでなければ、IHコンロでは使用できません。そのためにガスコンロを使った賃貸マンションからIHコンロの物件に引っ越しをする場合には、新たにIH対応の器具を買う必要があります。
またIHコンロでは表面だけを焼くということができないので、焦げ目をつける料理ができませんし炙るということもできません。また鍋底がしっかりと接地していないと加熱が止まってしまうので、鍋を振ったり傾ける料理には不向きです。
炎がないので使用中かどうかを目視で確認しにくい
火を使わないというのは火災のリスクを低減する反面、見た目には使用している状態かどうかが分かりにくいデメリットになります。とくに高齢者にとっては馴染みのない調理器具ですし、つい手をついてしまうと火傷をしてしまいます。
料理が終わったあとは、トッププレートの温度は300℃近くになっていることがあるので注意が必要です。スイッチを切ったあとでも、うっかり手をつかないようにしましょう。
調理方法をきちんと守る必要がある
ガスコンロは単純にコンロに鍋などを置いて火をつけるだけでよいのですが、IHコンロの場合には加熱方法を適切に選択しなければなりません。たとえば油を熱する時は、温度センサーが働くことで短時間に一気に加熱しようとします。すると数分で300℃以上に熱せられるために、自然発火することがあります。
そこで揚げ物の料理をする時には、揚げ物専用のボタンを使うなど指定された方法で使う必要があります。取り扱い説明書をきちんと読んで、使い方を頭に入れておかなければならない点は面倒ですし、デメリットといえるかもしれません。
換気には注意が必要
IHコンロは燃焼しないので空気が綺麗といわれます。しかし料理では鍋やフライパンから水蒸気や油などが拡散しますし空気は汚れます。この点ではIHコンロもガスコンロと変わりません。そしてIHコンロの場合、ガスコンロと比べると上昇気流が弱いので、そのような汚れた空気をキッチンの換気扇で排出しにくく、室内に停滞しやすくなります。独立型キッチンの場合には水蒸気などが原因で結露やカビが発生しやすくなるので、換気には注意しましょう。
ガスコンロのメリット
ガスコンロのメリットは鍋やフライパンなどの調理器具を選ばないことがあります。IHコンロは専用の調理器具が必要ですが、ガスコンロはそのような制限はありません。使い勝手やサイズなど好きなものを選べますし、生活圏内のお店でさまざまな種類のものが手に入るでしょう。
料理の仕方もいろんなバリエーションが楽しめる点もメリットといえます。鍋をふって食材に均等に熱を通すことができますし、直火で炙ってお酒の肴を作るのも簡単です。
ガスコンロは火を使うので、使い方によっては安全面に不安もあります。しかし、火は目に見えるものなので、肉眼でその危険性を確認できるのはメリットといえるでしょう。
ガスコンロのデメリット
ガスコンロは火を使うので、使用には注意が必要な点がデメリットとなります。衣服によっては発火しやすいものがあるので注意が必要です。また青い炎は高齢者には見えにくいので、気がついたら袖口に火が移っているというケースも少なくありません。
また火を使うことで、周囲が熱くなる点もデメリットといえるでしょう。オープン型のキッチンであればよいのですが、独立型のキッチンは熱がこもるので、夏場には扇風機などを使用するとよいでしょう。
もちろんガスコンロは安全性に関する機能も充実しています。消し忘れ消火や温度センサーなどがあれば安心なので、物件選びの際にはチェックすることをおすすめします。
ガス代、電気代でみればどちらがお得?
IHコンロとガスコンロをそれぞれ別に検証してみましたが、光熱費の面ではどちらがお得なのかを料金の面から比較してみましょう。
まずIHコンロとガスコンロそれぞれのエネルギー利用効率をみてみます。大阪ガス提供の資料によると、天然ガスなどの一次エネルギーを各家庭に送る時点で、ガスであれば100%届きます。一方で電気の場合には発電などにロスが発生することから、家庭に届く時点で使えるエネルギーは37%ほどに減少し、さらにIHコンロで使用できる形に変換する時点で29%となります。
もちろんこの差がそのまま電気代とガス代の差になるわけではありませんし、単純な料金の比較は難しいものです。そこで参考になるデータをご紹介します。
東京ガスのサイトでは、ガスコンロ使用時のランニングコストを掲載しています。目安として、強火で1時間加熱すると料金は約25.7円、中火で約14.5円、そして弱火で約3.3円となっています。
一方で東京電力が発表したIHコンロの電気代の目安は以下のようになっています。20℃の水0.5リットルを90℃になるまで加熱したコストとして、24センチ両手鍋では1分12秒で1.51円、16センチ片手鍋が1分26秒で1.51円、ミルクパンが2分26秒で1.59円となっています。1時間加熱を続けたとすると、24センチ両手鍋が75.5円でミルクパンの場合は39.2円です。
単純な比較にはなりませんが、IHコンロよりもガスコンロの方が料金は安くなりそうです。
まとめ
IHコンロとガスコンロを比較すると、細かな点で違いがあることがわかります。IHコンロは安全に使える反面、料理に応じて加熱方法を適切に選択するなど面倒に感じるところもあります。一方でガスコンロは簡単に使えますが、発火による火事には十分に注意が必要です。
ランニングコストの面でも違いがありますし、安全面の違いもありますので、自分にとって使いやすいと思える方を選ぶようにしましょう。