
賃貸物件を探す時に、誰もがこだわるのは築年数ではないでしょうか。
できれば新築を、無理ならば少しでも新しい物件をと望むのではないかと思います。
けれども家賃との兼ね合いで、どうしても古い物件を探さざるを得ないケースが多いのではないかと思います。
そこで今回は、妥協せずに古くても良い物件を見極めるポイントを挙げていきます。
良い賃貸マンションを見極めるポイント
具体的に次の5つに絞って取り上げてみます。
- 建物の構造
- 耐震性
- 配管
- 設備
- 内装
1 建物の構造をチェックする必要性とチェックポイント
賃貸マンションを探す場合、まず基本的に構造を確認することが大事です。
その理由は、構造によって安心して住めるかどうかが左右されるからです。
例えばマンションでは多い音のトラブルに悩まされたり、外気の影響を受けて暑かったり寒かったりすることが構造によって軽減されるからです。
まず最も防音性や断熱性に優れるのは鉄筋コンクリート造(RC造)と呼ばれるものです。
その中でも、隣との戸境の壁にも鉄筋が入っているものは、さらに防音性に優れています。
いわゆる壁式構造と呼ばれるものは、壁そのものが柱や梁の役割をして建物を支えるものです。
室内に梁などの出っ張りがなくすっきりとした解放感がありますが、利点は他にもあります。
実は阪神淡路大震災の後の調査で、最も被害が少なかったのは、この壁式構造であったことがわかっています。
たとえ古いマンションであったとしても、地震に強いことがわかります。
ただし5階建て以上には採用さえないので、低層マンションに限られます。
さらに大きな開口部、つまり窓を設けることはできない構造となっています。
このような構造に関することは、不動産屋に聞かないとわからないことが多いものです。
分譲タイプの賃貸物件であれば、細かい情報を調べてもらえます。
けれども賃貸専用に建てられた古い物件となると、詳しいことは分からない場合もあります。
そこで自分なりにチェックできることを知っておくと良いでしょう。
例えば防音性に関するものであれば、重要なのは隣や上下の部屋とのコンクリートの厚さです。
特に上下のコンクリート厚は、20年以上前のものは多くが15㎝でしたが、近年では20㎝ほど確保されています。
つまり古いマンションはこのコンクリート厚でどのように遮音性を高めているかがポイントというわけです。
さらに古いマンションは、二重床となっていない物件も多くあります。
コンクリートにフローリングを直貼りすると、音が響きます。その場合、最も防音性が高いのがカーペットです。
モノを落とした時の打撃音や、子供が走り回る音も軽減されます。
またフローリングの場合にも、どのような性能のものが使われているかで変わってきます。
10年ほど前のマンションであればLL45と呼ばれるフローリングが主でしたが、今はLL40という遮音性の高いタイプが使われています。
けれども古いマンションでもリフォームする際には、このような遮音性の高いものが使われている可能性が高いものです。
つまり、フローリングの張り替えをいつ行ったのかを聞くことが大事ということです。
隣の部屋との壁も、どのように仕上げているかをチェックしたいものです。
最も遮音性が高いのは、コンクリートに直接壁紙を貼る方法です。
けれどもコンクリートの表面の加工精度が悪い場合、まずボードを貼ってから壁紙を貼るという手法が取られます。
この場合、コンクリートとボードの間に空洞ができるために、太鼓現象と呼ばれる音が大きくなる症状が現れやすくなります。内見の時に壁を叩くと、その見極めができます。
2 耐震性をチェックする
マンションの構造としては先ほど少し述べたように、壁式構造が最も耐震性に優れていることが知られています。
他にも色々とありますが、物件探しの際に自分でどのように見極めるのかが重要です。
ここでちょっと余談ですが、古いマンションはコンクリートの強度も弱まって心配と考える人は多いのではないでしょうか。
実は古い物件の方が、コストを気にせずに強度の高いコンクリートで建設した物件が多いのです。
建築基準法の改正によって、1981年以降のものであれば安心と考えられています。
実は阪神淡路大震災のデータによると、その前に改正が行われた1971年から1981年のRC構造の建物を調べたところ、命の危険に及ぶような構造被害の差はほとんどなかったとされています。
さて、外観の見た目で耐震性をチェックするポイントですが、タイル貼りと吹き付けタイルの判別があります。
吹き付けタイルは地震の揺れなどによりヒビが入りやすく、雨水が入り込みやすくなります。するとコンクリートが劣化し、中性化することで鉄筋が錆びてしまいます。
当然ながら耐震性も落ちることになるわけです。
それに対して施工の手間がかかるタイル貼りの方がヒビが入りにくく、地震にも強いことがわかります。
このヒビが入っているかどうかというのが、物件の下見の際に大事なポイントと言えます。
3 配管をチェックする
古いマンションで他に気になるのは水道です。
赤水が出るといった話はよくありますし、リフォームで室内を綺麗にしても配管はそのままというケースは多いものです。
近年の物件は樹脂製の管を使っていますが、20年以上前ともなれば鉄や銅などの金属製となっています。そのために劣化による錆が発生しますし、赤水も出るようになります。
ただし、常に水を流していればさほど気になりませんが、長い間空室となっていると赤水が出やすくなります。
内見の際には必ず水を出して確認する必要があります。
赤水が出るようであれば、浄水器をつけてもフィルターはすぐに駄目になるので注意が必要です。
また、給水が受水槽方式であれば、清掃はもちろんのこと水質点検を定期的に行っているかを確認することが大事です。
メンテナンスをしっかりと行っていれば、古い物件でもさほど心配する必要はありません。できれば給水管を交換しているかどうかも聞いておくと良いでしょう。
4 設備をチェックする
ここまで古いマンションの造りを見てきました。安心して住める条件をクリアしたならば、次に確認するのは住み心地です。
まず設備についてチェックしておきたいポイントがいくつかあります。
例えばキッチンやお風呂がリフォームで新しくなっているからと、安心するのは早いです。
肝心の給湯器が古いと、熱効率が低下するためにガス代がかかることがあります。
あるいは浴室乾燥機などを取り付けたのに、給湯器の大きさが小さいとお湯がなかなか出ないなど不便です。逆に大きな給湯器に交換していても、水道管が細ければその能力が発揮されません。
また、電気式の温水器を使っているとガス代よりも安い電気代で済むというメリットがあります。
けれども中のお湯が無くなってしまうと出なくなりますし、温めるのに時間がかかります。またお風呂は追い焚きができるかどうかもチェックしておきましょう。
また、契約時に確認しておきたいのは設備が故障した際の修理に関することです。
実は分譲タイプの賃貸マンションの場合、設備が故障してもオーナーが修理や交換をしてくれないというトラブルがあります。古いマンションで設備の入れ替えをしていない場合には、そのようなリスクがあることも知っておきたいものです。
5 内装のチェックポイント
かなり古いマンションであれば、リフォームをしているケースが多くなります。見た目には綺麗でも、良く確認しておきたいことがあります。
例えばフローリングに張り替えている場合、コンクリートに直貼りでは音が響きやすくなります。特に和室をフローリングにしたようなケースは注意が必要です。この場合、クッション性のあるタイプであれば、少しは遮音性が高まります。
また、もっともやっかいなのが壁紙です。張り替えてしまうと分からないものですが、カビが発生しやすい部屋というものがあります。
見た目が綺麗でも空室期間が長い物件は注意が必要です。壁紙の境目や角など、細かなところをチェックしてカビが発生していないかを見ておきましょう。
良い物件を見極めるポイントまとめ
以上のように、古いマンションでも細かくチェックをすれば、住み心地の良い物件を見つけることができます。
内見の前にチェックリストを作って、しっかりと確認しておくと良いでしょう。