女性が初めて賃貸物件を探す場合、どのような点に注意すればよいのでしょうか。今回は満足できる生活ができるような、賃貸物件の選び方をご紹介します。
賃貸の探し方
初めて賃貸探しをする場合、何を重視した選び方をすればよいのかわからないというケースは多いものです。そこでまずは、一般的に賃貸の選び方にはどんなポイントがあるのかを知っていただければと思います。
家賃はいくらまで出してOK?
女性が賃貸物件を探す時、希望条件はいろいろあると思います。しかしそのすべてを満たす条件の物件は、なかなか見つからないものです。そこで最初に、家賃をいくらまで出せるのかを考えることをオススメします。
そこでまず考えるのは、毎月の収入から出費を差し引いていくら残るか、ということです。家賃はその残った予算から支払うことになるからです。ここで注意したいのが、出費を差し引いて残った額すべてを家賃で支払うのは避けるということです。もちろん人によって収入の金額やライフスタイルは違いますが、将来に備えた貯蓄も確保したほうがよいからです。
金融広報中央委員会による「家計の金融行動に関する世論調査」(単身者調査2018年)によると、20代の平均貯蓄額は128万円(ただし中央値は5万円)となっています。そしてこの世代で貯蓄を増やせた人は、その後も順調に金融資産を増やしていることがわかります。
それを踏まえて家賃にどれだけ出せるのかを考えてみたらいかがかと思います。ちなみに国土交通省発表の2014年時点での家賃割合は、30歳未満勤労単身世帯で平均消費支出に対して月額収入の25%となっています。
最寄り駅orドアtoドア
最寄駅からの近さを優先するのか、それとも職場からのドアtoドアの時間を優先するのかは悩みどころでしょう。最寄駅から近い物件は、家賃もそれなりに高くなります。会社のある都市部に近いほど、家賃相場はさらに高くなってしまいます。
都市部に近い場所で探すならば、駅からは少し遠いエリアで検討することになると思います。もし都市部から離れれば、駅に近い物件も選択肢に入るかもしれません。どちらがよいのかは、好みによります。賃貸物件の周辺環境なども確認しながら決めるとよいでしょう。
生活するための周辺施設
(公社)全国宅地建物取引業協会連合会・(公社)全国宅地建物取引業保証協会による2018年3月の「一人暮らしに関する意識調査」の調査結果概略によると、環境について重視するポイントは次のようになっています。
1位 コンビニ・スーパーなどの有無 63.0%
5位 医療機関の有無 27.1%
またsuumo調べによる2017年の「20代社会人シングル男女の一人暮らしデータ」では、立地・周辺環境で重視したものは次のとおりです。
スーパー 52.0%
コンビニエンスストア 40.7%
薬局(ドラッグストア) 18.1%
公共機関 14.7%
銀行 10.2%
郵便局 10.2%
商店街 8.5%
飲食店 6.2%
本屋 4.5%
これは男女合わせて、今住んでいる賃貸物件を選んだ際に重視したものの結果です。女性の場合はスーパー・薬局は男性よりも高い割合ですが、それ意外は男性の方が高い割合で重視しています。
銀行や郵便局は、確かに周辺にあれば便利ですが、平日の日中は会社にいるのでまず利用することはないでしょう。飲食店も自炊をする場合にはさほど必要ないかもしれません。
女性の場合には施設以外に治安の良さ・街並み・自然の良さといったものを重視しているという結果になっています。
敷金、礼金、保証金
賃貸探しの際にチェックしたい費用負担として、家賃のほかに敷金・礼金(保証金)があります。
一般的に借り手がすぐにつくような好条件の賃貸物件は、敷金や礼金は高めに設定されます。逆になかなか賃借人がつかないような物件の場合には、敷金はあっても礼金が無いというようなケースも見られます。
女性は特に設備や防犯性、周辺環境にこだわる方も多いので、どうしても礼金や敷金は高めになります。
公益財団法人 日本賃貸住宅管理協会が2018年12月に公表した「第20回 賃貸住宅市場景況感調査」によると、礼金・敷金(保証金)の2018年上期における平均月数(家賃何カ月分に相当するか)は次のようになっています(カッコ内は2017年上期)。
礼金
首都圏 0.83(0.90)
関西圏 1.25(1.13)
その他 0.99(1.00)
敷金(保証金)
首都圏 1.04(1.16)
関西圏 1.00(0.96)
その他 1.41(1.41)
ただしこちらのデータは単身者に限定はしていません。また調査対象は賃貸住宅管理会社です。
ちなみに保証人を立てずに保証会社を利用する場合、保証料も支払います。その家賃保証会社利用割合は以下のとおりです(単位は%)。
首都圏 94.55(97.78)
関西圏 94.44(94.74)
その他 96.10(98.21)
家賃保証料は家賃1カ月分の50%〜100%です。
意外にかかる諸費用
賃貸物件を選んで契約を交わすと、支払うべき諸費用がいろいろとあります。まず当月の日割家賃と翌月分の前家賃、不動産会社に支払う仲介手数料が必要です
そして物件にもよりますが、礼金と敷金(あるいは保証金)、さらに家賃保証会社に支払う保証料として家賃ひと月分の50%前後は支払います。
さらに諸費用が発生します。火災や水漏れなどに備えた損害保険への加入は必須なので、その火災保険が10,000円程度はかかります。防犯面で必要となるのが鍵交換の費用です。ディンプルキーのように簡単に複製できないタイプの鍵は、交換費用も20,000円程度になります。
ほかに引っ越しのための費用もかかりますし、総額いくらになるのか事前確認が大事です。
賃貸の種類(RC、木造、鉄骨など)
賃貸物件は、建物の構造によって住みやすさがかなり違いますし、当然ながら家賃設定も変わります。
最も家賃単価が安いのは木造のアパートですが、コンクリート造と比べると防音性や断熱性がどうしても劣ります。特に隣や上階の音が気になる人は、木造は避けたほうがよいかもしれません。
鉄骨造は構造的に壁や床を木造よりも厚くできるので、防音性は高まります。壁には石膏ボードやプラスターボード、ALCを使用しますが、コンクリートよりは防音性が落ちるので注意しましょう。ちなみにタワーマンションも軽量化のため、外壁材はほとんどがALCを使用しています。断熱性に関してはALCはコンクリートよりも高いとされています。
最後にRC(鉄筋コンクリート)造ですが、耐震性・耐火性・防音性に関しては最も高い構造体です。特に音に関するトラブルを回避したい場合にはオススメです。
ただし防音性はコンクリート圧によってかなり変わりますし、分譲マンションよりも賃貸専用マンションの方がコスト削減のためにコンクリート圧は薄くなりがちです。
通常はRC造はラーメン構造と呼ばれる方式で建てられますが、柱のない壁式構造というものがあります。主に一戸建てで採用される方式ですが、低層マンションにもこの壁式構造で建てられているものがあります。
実はこの壁式構造の場合、ラーメン構造よりもさらに防音性・耐震性に優れていることで知られています。ただし建築コストがかかるので、オーナーも同じ建物に住んでいるマンションなどに見られる程度と考えてよいでしょう。
自分の荷物と収納
賃貸の選び方で重視すべきことのひとつに、収納の確保があります。家賃設定や駅からの距離、周辺環境など自分の希望する条件が揃っていたとしても、荷物を収納するスペースがないとなると生活しにくくなります。
もちろん収納スペースに合わせて荷物を減らすという手段もあります。しかし女性の場合は男性と比べると、何かとモノが増えていきます。
洋服や化粧品などの小物類をきちんと収納できるスペースが確保できるかどうか、しっかりと確認しておきましょう。
設備は何を見ればいい?
設備も生活のしやすさに影響するので、事前に何が必要となるのかを考えておきましょう。設備が充実していれば家賃は高くなりますし、家賃を抑えると設備面でも妥協が必要です。
ガス給湯器やエアコンは当然必要になりますが、ほかに浴室乾燥機などもあると便利です。外で洗濯物を干す時間があまりないとなれば、浴室乾燥機は必須となるでしょう。
自分の生活スタイルを考えて、どんな設備が必要になるのかを考えておきましょう。
不動産屋の選び方
賃貸物件そのものの選び方も大事ですが、その物件を提供している不動産屋の選び方も大切です。
物件取り扱い件数No1より紹介実績件数No.1
不動産屋を選ぶ時には、取り扱い件数の多いところが希望に叶う物件が見つかりそうな気がするものです。しかし、取り扱っている物件数がどれほどたくさんあるとしても、そのすべてが検討対象となる物件というわけではありません。
それよりも、紹介実績の多い不動産屋を選ぶことをオススメします。実は物件を探している本人でも、どんな条件で絞ればよいのか迷う部分は多いものです。そこで求める条件の中で何を優先したほうがよいのかを明確にできる不動産屋のほうが、満足度の高い物件を選ぶことができます。
紹介する物件はレインズというシステムを使うことで、どの不動産屋でも検索できます。あとはその中で、本当に必要とする物件はどれなのかを的確に紹介してくれる不動産屋を選ぶようにしましょう。
仲介手数料無料に騙されない
契約時の予算を少しでも削りたいと思うと、礼金がゼロであったり仲介手数料が無料であったりする物件が気になると思います。しかし、そのような賃貸物件はあまりオススメできません。
住みやすく人気のある物件は、たとえ礼金が多いとしても借り手には困りません。逆になかなか借り手がつかない物件は、オーナーが自腹を切って賃借人をつけてもらおうとします。
つまり本来は借り手が支払う仲介手数料を、オーナーが負担することで不動産屋は借り手から仲介手数料を受け取る必要がなくなります。そもそも仲介手数料は必ず家賃の1カ月分を支払わなければならないというものではありません。不動産屋が自由に決めることができるのです。
あまりに条件がよいと思える物件は、何かしらの原因があると思ったほうがよいでしょう。
3 内覧の時に気を付けること
気になる賃貸物件が見つかれば、実際に内覧して室内をチェックすることになります。ここでは部屋の雰囲気や収納だけではなく、細かな点に注意してチェックするようにしましょう。
まず水が出るようならば、蛇口から水を流してみてください。長く空き部屋となったままで内覧もないような部屋だと、流しの中の水が干上がっています。そこに水を流すと、嫌な臭いがすることがあります。その時点で、その部屋は長く借り手がついていなかったということがわかります。
またクローゼットの中や部屋の隅をチェックして、カビが発生した跡が残っていないか確認しましょう。壁紙の色がコーナーだけ変わっているようであれば、それはカビをクリーニングした跡かもしれません。
ほかにもエアコンのカバーを外して、中の様子を確認しましょう。内部にカビが発生していないかどうかをチェックするためです。
細かな点になりますが、コンセントの位置は不便がない場所かどうか、外から見て上階に子供の服が干してないかどうかなども確認しましょう。小さな子どもが上階にいると、音に悩まされるかもしれません。
まとめ
女性の一人暮らしとなると、防犯面や周辺環境にも十分な配慮が必要です。何かとチェックすること、家賃設定など考えることが多くあります。それも踏まえて、紹介実績の多い不動産屋に足を運ぶと、何かと相談に乗ってくれます。
◆参考サイト
平均消費支出に占める住居費の割合
http://www.mlit.go.jp/common/001172336.pdf
一人暮らしに関する意識調査
https://www.zentaku.or.jp/wp-content/uploads/2016/08/一人暮らしに関する意識調査_概略報告書.pdf
環境で重視するポイント
礼金・敷金・保証金
https://www.jpm.jp/marketdata/pdf/tankan20.pdf
参考:https://www.kurachic.jp/column/526/