雑誌の特集などで家計に関する特集をよく目にします。そこには生活費を削減するテクニックなどいろんな情報が記載されていますが、実際に一人暮らしの女性はどの程度の生活費がかかるのでしょうか。今回は統計局の家計調査をもとにいろいろと調べてみましたので、参考にしていただければと思います。
項目ごとの細かな生活費の内訳
まず総務省統計局の2018年1月~3月のデータを見てみます。勤労者の単身者女性(34歳まで)の場合、1ヶ月の平均支出は167,433円となっています。その中の内訳をみていきましょう。
食料 33,337円 住居 34,016円 電気 3,864円 ガス 3,427円 水道 1,471円 その他光熱費 249円 家具・家事用品 2,518円 被服及び履物 12,222円 保険医療 4,479円 交通 8,133円 通信 6,639円 教養娯楽 22,556円 その他(理美容など) 30,580円
このうち34,016円の家賃ですが、これは持ち家や実家暮らしの人も含まれるのでこのような少ない金額になっていると思われます。住宅に関しては5年ごとに統計を取っていますが、単身者女性(40歳未満)の家賃の可処分所得比は2009年で24.7%となっています。つまり、手取り収入のうち家賃が占める割合が24.7%ということです。ちなみに男性の単身者(40歳未満)は19.9%なので、女性の方が家賃にかける割合が大きいことがわかります。さらにその5年ごとの推移を見ても、
1989年 19.0% 1994年 22.2% 1999年 24.5% 2004年 22.4% 2009年 24.7%
と徐々に増えていることがわかります。家賃にかける可処分所得の割合が男性よりも大きい理由として、まず収入そのものが男性よりも少ないことが考えられます。ただし家賃そのものも、女性の方が男性よりも高めとなる傾向が見られます。これは男性よりも必要とする設備が多いことが理由と考えられます。
家賃の推移 1898年 32,096円/24,724円 (女性/男性) 1994年 44,289円/29,464円 1999年 49,873円/32,881円 2004年 48,408円/41,386円 2009年 54,462円/48,034円
年収別にみる適正家賃はどのくらい?
家賃に関する統計データは古いのですが、仮に2009年の女性の平均家賃を適用するとなると必要な可処分所得(税金などを差し引いた手取り収入)は、
167,433-34,016+54,462=187,879(円)
となります。この場合には、187,879円に対して家賃が54,462円なので、その割合は29%ほどとなることがわかります。だいたい一般的に家賃は給料(手取り)の3分の1と言われますが、このデータからもその裏付けが取れる形となっています。
可処分所得に対して家賃の割合が3分の1となれば、年収が増えるほどに家賃もそれに応じて高くできると考えられます。けれども広い部屋に住むとなれば光熱費など維持費もかかりますし、高収入を維持するためにもスキルを磨く勉強などのお金が必要になるでしょう。また年収が増えると税金なども増えるので、可処分所得は年収に比例して増えるわけではありません。
たとえば総務省が発表している家計調査によると、平成24年のデータでは月あたりの消費支出率は次のようになっています。そして一番下に29%を掛けた家賃を算出しています。
実収入 239,999円 348,151円 427,444円 539,960円 可処分所得 207,984円 293,922円 358,981円 440,980円 消費支出 167,863円 221,356円 258,696円 318,713円 平均消費性向 80.7% 75.3% 72.1% 72.3% 家賃 48,680円 64,193円 75,021円 92,426円
たとえば一番最初の実収入239,999円(月額)の場合、可処分所得の207,984円に対して実際に消費に使う金額は167,863円であることを示しています。そしてこの消費支出のうち29%となる48,680円が適正家賃であるというわけです。
節約しやすい項目とは?
先に紹介した消費項目には、35歳以上の勤労者女性のデータもあります。その数値と比較すると、どの項目を減らすことができるのかがわかるようになります。つまり、34歳までの女性の消費項目のうち35歳以上の女性が出費を減らしているものは、節約をすることが可能であると考えられるわけです。ただし逆に35歳以上になると増える項目もあるので、それに備えて節約できるものはしておきたいと考えることもできます。
食費はほぼ変わりませんが、外食費は14,345円に対して35歳以上では8,285円に減っています。被覆及び履物も、12,222円から9,778円に下がっています。他には交通費が8,133円から4,957円に、教養娯楽が22,556円から14,704円になっています。
逆に高くなっているのは光熱費で、特に電気代が3,864円から7,014円に上昇しています。また医療保険も4,479円から6,212円に、自動車等維持費が3,942円から8,788円に、通信費も6,639円から8,788円に増えています。さらにその他支出も30,580円から49,257円になっていますが、中でも交際費が13,475円から18,228円と大きく上昇しています。
このことから、まず食費は外食を減らしてもトータルで見るとさほど変わらないことがわかります。節約できるとすれば被覆及び履物や教養娯楽費といったところでしょうか。ただし教養費用は将来のキャリアアップのために節約するのは避けたいところです。あとは保険をいかに増やさないか、交際費として増える要因は何かを考えることも大切かもしれません。
安く暮らすための賃貸選び
女性は賃貸物件の家賃が男性よりも高めになる傾向があります。これはセキュリティや生活に必要な設備などを妥協できないことが要因と考えられます。それを踏まえて家賃を安くするための方法を考えるとよいでしょう。
たとえば光熱費を安くするために電気の割引サービスに加入しているマンションを探したり、インターネット料金が無料となる物件を探すとよいかもしれません。さらにサッシはペアガラスを使っているなど、気密性・断熱性の高い物件の方が冷暖房の効率が高まり光熱費は安くなります。またガスは都市ガスとプロパンがありますが、プロパンの場合には使用量がかなり高くなることも知っておくとよいでしょう。
さらに築年数が古くてもリフォームで設備などを入れ替えてある物件であれば、安い家賃で快適に住むことができます。駅からの近さを優先するのであれば、広さも妥協する必要があります。それでも間取りによっては空間を広く確保している物件もあるので、物件探しの内見時にチェックしてみるとよいでしょう。
一人暮らしの初期費用はいくらくらい?
一人暮らしを始めるための初期費用を考えてみましょう。必要となるのは住居費と引越しの費用、そして生活に必要な家具や家電を購入する費用などです。まず住居費ですが、前家賃として1ヶ月分の家賃が必要になります。さらに引越しの時期によっては日割り家賃もそれなりに必要となってきます。他に敷金と礼金、不動産会社に支払う仲介手数料や火災保険、さらに鍵交換のための費用も発生します。敷金と礼金をそれぞれ1ヶ月分必要とするとして、家賃は仮に2009年のデータとなる平均金額の54,462円と仮定すると、
54,462×4=217,848(円)
これに火災保険(およそ15,000円)と鍵交換費用(およそ10,000円)を加えて、だいたい240,000円ほどが必要になることがわかります。敷金と礼金が増えれば、その分さらに増額となります。
引越しの費用ですが、家具や家電は新居で揃えるようにすると、だいたい40,000円程度に抑えられるのではないかと思います。次に生活に必要な家具・家電などをみていきます。家電は最低限、テレビ・冷蔵庫・洗濯機・電子レンジ・炊飯器・掃除機を揃えるとします。冷蔵庫を除く新品5点をセットで購入する場合、たとえば楽天で60,000円ほどで購入することができます。液晶テレビは国産でも20,000円くらいから購入できます。他にカーテンやテーブル、食器などを揃えるとトータルで100,000円ほどは必要になるかと思います。住居費と引越し費用、家具・家電などの購入費用を全てを合わせると、最低でも350,000円ほどは必要と考えておいた方がよいかもしれません。
貯金はいくらくらいすればいいの?
総務省から毎年5月に発表される家計調査で、独身女性の平均貯蓄額を見ることができます。2018年5月の統計によると、貯蓄額に対する割合は次のような結果となっています。
100万円未満 16.2% 100~200万円未満 8.2% 200~300万円未満 6.3% 300~500万円未満 10.2% 500~700万円未満 9.4% 700~1000万円未満 9.8% 1000~1500万円未満 11.3%
ここから中央値は679万円、平均は1279万円と算出されています。平均値は貯蓄をしていない人も含めた数字なので、中央値の679万円をひとつの目安にするとよいかもしれません。
もちろんこれだけの金額が必要というわけではありませんし、なければ困るという金額でもありません。あくまでも統計によると、このくらいの貯蓄をしているというデータにすぎません。人によってライフスタイルも違いますし、将来必要となるお金も違います。けれども目安としては、参考になるかと思います。
まとめ
今回は統計をもとにして考察してみましたが、もちろん地域によって物価の違いがありますし、都市部ほど家賃も高くなります。大事なことは支出をいかに抑えるか、さらに将来増える出費などに備えておくかということです。そのためには節約ももちろんのこと、貯蓄もできる限りしておいた方がよいと言えるでしょう。その目安として、こうした統計データを活用することができます。