
部屋探しをしていて希望する条件の物件が見つかった時、気になるのは入居審査が通るかどうかです。そこで今回はその入居審査について詳しくご紹介します。どのようなことを審査されるのか、その期間はどのくらいか、そしてどうすれば通るようになるのかをチェックしていただければと思います。
◇入居審査とは?
賃貸物件を借りるために申し込みをしたら、まず入居審査が行われます。ここで通らなければ、いくら希望しても部屋を借りることはできないわけです。入居審査を行う理由は、以下を確認するためです。
- 家賃をきちんと払えるかどうか
- 近隣とトラブルを起こさないか
- 部屋を綺麗に使ってくれるか
その確認をするためにさまざまな項目をチェックし、申し込み者に問題がないかどうかを調べます。その審査を行うのは、賃借人を募集する仲介業者と部屋の大家、そしてその部屋を管理する管理会社(不動産会社)と保証会社です。それぞれがチェックすることは、以下のようになります。
仲介業者が見ている審査内容
応募者が賃貸条件を満たしているか
(例えばペット禁止なのに犬を飼っている、単身者限定なのに同棲を考えているなど)
大家が見ている審査内容
問題を起こすような人物ではないかどうか
マンションの管理会社が見ている審査内容
家賃を支払う能力があるか、安定して支払えるか
トラブルを起こさないような人柄か
保証人はしっかりしているか(保証人を立てる場合))
保証会社(保証人を立てない場合)
家賃を安定して支払えるかどうか
申し込み者の過去の滞納記録
◇入居審査の基準は?何を見られている?
それでは実際に、入居審査ではどのような基準でチェックしているのかをご紹介します。入居審査に落ちても、その理由は教えてくれないことがほとんどです。
そこでどのような点をチェックされるのか、事前に知っておきましょう。大きく分けると申し込み者の収入と人柄、過去のローンなどの滞納歴です。それぞれ詳しくみていきます。
■安定した収入があるかチェックされる
まず収入ですが、これは問題なく家賃を払うことができるかどうかの確認です。滞納すれば契約解除となりますが、大家としては次の賃借人を探さなければいけませんし、すぐに退去してくれるかどうかもわかりません。
そこでチェックされるのは、年収と職業、勤務先と勤続年数です。まず生活費を差し引いて残ったお金で家賃が支払えるのかどうかを確認します。生活費などは人によってまちまちなので、大まかに家賃の何倍の収入があるかという基準が設けられています。
次に職業と勤務先ですが、これは安定して収入が得られるのかを確認するためです。例えば公務員などは離職の可能性も低いと判断されて審査が通りやすいのですが、アルバイトやパート、あるいは派遣のような非正規雇用の場合は、その継続性に疑問を持たれます。そのため審査が通りにくいケースもあります。勤続年数をチェックするのは、すぐに仕事を辞めてしまうようなことがないかどうかの確認のためです。
■人柄もしっかりとチェックされる
たとえ十分な収入があるとしても、その振る舞いなどに問題が見られるようであれば近隣とのトラブルが危惧されます。周辺住民から苦情がくるような賃借人は避けたいので、見た目や言動などがチェックされます。また、以前に事件や問題を起こしていないかなどのチェックも入ります。
■過去の滞納履歴もチェックされる
クレジットカードでの借入やローンの返済の延滞歴などがあればチェックされます。不動産会社はクレジット会社などと情報交換はしませんが、保証人の代わりに保証会社を利用する場合には、カードの滞納履歴に注意が必要です。信販系の保証会社は個人信用情報機関に照会できるところがあるので、滞納歴があれば審査に引っ掛かる場合があります。あまりに頻度が多ければ、家賃滞納の可能性もあると判断させるわけです。
◇入居審査に落ちる可能性が高い人の特徴
借金を滞納した覚えがないのに入居審査に落ちた、という方も少なくないようです。実は注意が必要なのが携帯電話料金の滞納です。スマートフォンを携帯会社を通して購入する場合、分割払いをする方が多いと思います。その分割払いは、実はローンを組んでいます。
携帯料金の支払いそのものは遅延しても信用情報機関には影響ありません。けれども端末本体のローンとセットになっているのでやっかいです。携帯代の引き落とし時に口座の預金が足りないと支払い遅延の記録がつきます。そして3ヶ月以上遅れると信用情報機関に名前が登録されます。つまり、「ブラックリスト」に名前が載るというわけです。
ブラックリストに名前が載ると、ローンを完済しても5年間は抹消されません。つまり信販系の保証会社を利用する場合には、入居審査に落ちる可能性が高くなります。
収入面に関しては、目安として家賃の3倍の手取り収入が必要です。4倍程度あれば、まず収入に関しては審査を心配する必要はないでしょう。特に非正規雇用やアルバイトの場合、仕事が安定しているかどうかという点で不利となりますので、家賃設定を厳しくしておくとよいかもしれません。
収入は十分にあっても、自営業者は落ちる可能性が高くなります。フリーランスとして働く人が増えていますが、引っ越しに苦労したという声をよく聞きます。やはり自営業者は収入が安定しないとみなされるために、どうしても審査では不利になるようです。たとえ十分な収入のある経営者であっても、ベンチャー企業を立ち上げて数年という場合には入居審査に落ちる可能性は高いようです。水商売の場合も同様に難しいものですが、物件によっては可能というところがあるので、不動産仲介業者に相談すると良いでしょう。
収入面以外にも、申し込み者の人柄が重視されます。きちんとした身なりでない場合、マナーが悪い人は保証会社の審査を受ける前に落ちる可能性が高いと言えます。部屋を貸す大家の承認を得ることができないからです。
◇申込時の身なりや人柄を良く見てもらう
賃貸物件を借りるために必要なのは、安定した収入だけではありません。たとえきちんと家賃を支払っているとしても、態度やマナーが悪い人は入居させたくないと思われます。
これは、たとえば夜中に騒いだり周囲に迷惑をかけるような住人がいると、その周囲の部屋の賃借人からクレームが入りますし、場合によっては退去して賃借人がつかないという事態にもなりかねません。
そのためにまず、仲介業者が入居希望者とのやりとりの中で、その人柄を確認することになります。仲介業者はそれこそ多くの人と接しているので、身なりや態度で大体の人柄を察することができます。約束や時間を守らないといったマナーがなっていない人もチェックされるので注意しましょう。
◇審査期間はどれくらいかかる?
審査期間は2~3日というケースが多いでしょう。ただし木曜日や金曜日に審査依頼をすれば、土日を挟むのでもう少しかかります。祝日も保証会社は休みですし、場合によっては1週間ほどかかることもあるでしょう。
審査に時間がかかるようだと不安になるものです。実際には大家が不在で連絡が取れない、繁忙期なので保証会社での業務が進まないといった事情もあります。連絡が遅いので気になるという場合であれば、審査を依頼した不動産会社に連絡を入れてみてもよいでしょう。
ただし申し込み書に不備があるなど、必要な情報提供が不十分である場合には審査に時間がかかります。
◇審査に落ちることはよくあること
入居審査に落ちるというのは、実はそれほど珍しいことではありません。1月から3月の繁忙期、最も入居希望者が多い時期には2割近くが審査に落ちているとの声も不動産会社から聞かれます。その理由として、非正規雇用の増加や収入の減少、借入の増加などがあるようです。
とはいえ、そのような条件の方でも審査に無事通るケースは多いものですし、現実として非正規雇用者は2017年末の段階で3400万人以上います。これだけの人数が部屋を借りることができないとなれば問題です。つまりちょっとしたことで、審査に落ちる可能性は減少するということです。少なくとも、ある程度の勤続年数があれば非正規雇用でもアルバイトでも、審査に通りやすくなります。他にも申し込みをする段階で注意すれば、入居審査に通る可能性を高めることができます。
まず物件を案内してくれる仲介業者とは、良好な関係を築くようにしましょう。仲介業者も管理会社から人柄を聞かれることがあります。
入居審査に落ちる理由というのは、説明してくれないケースが多いものです。そのために自分なりに対策を立てておくことも大事です。例えばクレジットカードの滞納履歴がある場合、信販系の保証会社を避けることで対処できます。
収入面で不安があるという場合にも、対策は立てられます。まず連帯保証人を立てることで、無職であっても入居審査が通る場合があります。あるいは就職が決まっているのであれば、その旨伝えて必要な情報を記載すれば問題ないというケースもあります。
さらにアルバイトで収入が少ない、けれども連帯保証人を立てることもできないという方は、まず仲介業者とのやりとりで誠実さをアピールするとよいでしょう。多少収入面で問題があるとしても、きちんと支払う意思を持った人物であると認識してもらえれば、審査が通りやすくなります。また引っ越しの理由も明確にしておく必要があります。どのような必要性があって引っ越すのかを理解してもらえれば、審査に落ちる確率も少なくなります。
逆にこのような点に注意しなければ、入居審査に落ちる可能性が高くなると言えるでしょう。
◇まとめ
賃貸の入居審査は安定した収入と人柄、そしてローン滞納の有無がチェックされることがわかります。基準は割と明確なので、きちんと準備しておけば無暗に不安になることもないでしょう。また物件によってはそれほど審査が厳しくない場合もあります。保証会社も、審査が厳しいところと通りやすいところがあるので、物件情報に記載されている保証会社をチェックするとよいかもしれません。