賃貸物件に住んでいると、契約更新に何かとお金がかかります。そのタイミングで引っ越しを考える人も少なくありませんが、今回はそのまま契約更新をした方が得なのか、それとも引っ越しをした方が得なのかを検証してみます。
契約更新に必要な費用はどの位?
賃貸物件は大抵2年契約となっているので、住み続ける場合には2年ごとに契約更新が必要になります。その際に必要となるのが更新料です。
実は更新料は法的に定められた手数料ではありませんが、通常は契約書で支払うことを定められています。金額は家賃のひと月分となりますが、他に更新手数料も必要になります。そして契約の更新と共に支払うことになるのが保証料です。これは保証人を立てる代わりに保証会社が賃借人を保証するものです。この保証料も2年ごとに更新が必要となります。さらに火災保険などの保険料も加わり、これらが翌月の家賃に加算されます。
契約更新によって得られるメリットとは?
賃貸契約を更新して同じ物件に住み続けることで得られるメリットについて挙げてみます。実は長く同じ部屋に住み続けていると、他の部屋と家賃に差が生じるケースが出てきます。通常は契約更新に伴って家賃が上がることはありますが、下がることはほとんどありません。
一方で、同じ棟内の他の部屋が長く空き部屋となっている場合、家賃を下げていることがあります。賃貸情報などを見ることで、自分が住んでいる建物の他の部屋の家賃を確認することができます。そして、その家賃金額が自分の部屋よりも安い場合、契約更新の機会に値下げを要求することができます。もちろん契約更新の通知が届くタイミングで切り出すのが良いのですが、その返答によっては引っ越しを検討している意向を示すのも効果的です。
金額面以外にも、契約更新をすることで得られるメリットは色々とあります。まず引っ越しに伴う荷物の片付けや処分などを行う手間がかかりません。引っ越しをするとなれば、早い段階から色々と準備することがありますし、電気やガスなどの変更手続き、役所での手続きなども必要になります。そのような煩わしさが無いことが、契約更新をする利点と言えます。
また、住み慣れた環境であればそのまま住み続けた方が良い場合があります。場合によっては上下階、あるいは隣の部屋の人によって音の問題に悩まされることがあります。防音性の高いマンションでも、音や衝撃音などで悩まされるというケースは割と多いものです。何も問題なく生活できる方がラッキーとも言えます。そのような環境であれば、そのまま住み続ける方がお得かもしれません。
生活スタイルの変化によって、現在の間取りでは手狭になるというケースはあります。引っ越しをして必要な環境を手に入れることもできますが、あえてそのまま住み続ける選択肢もあります。不便な点があれば工夫をして住みやすさを自分なりに生み出すといった、創意工夫をする習慣が身につくこともあります。欲しいものがあればすぐに手に入れるのではなく、まずは工夫するという癖が身につくことになります。
引っ越しに必要な費用とは?
賃貸契約を更新せずに引っ越しする場合、必要な費用項目は色々とあります。
まず新しい賃貸物件の契約に関わる仲介手数料が必要になります。そして敷金と礼金がありますが、これは地域や物件によって異なります。例えば関西では敷金と礼金の代わりに、保証金と敷引きという形で費用が必要になります。その総額は敷金と礼金よりも高くなるケースが多いようです。敷金は家賃の2ヶ月分からゼロ、礼金も同様に2ヶ月からゼロとなります。
他に鍵の交換手数料や火災保険保険料料、保証会社への保証料なども支払うことになります。それらに加えて、前家賃も必要となります。さらに引っ越しのための引っ越し料金が必要です。これも荷物の量や引っ越し先までの距離など条件によって変わります。総額としては、契約更新にかかる費用よりも高めになります。
引っ越しすることで得られるメリットとは
引っ越しをしてメリットを得られるのは、勤務地が変わった人です。転勤で遠方へ移動する場合には、当然ながら引っ越しせざるを得ません。けれども通勤時間が少し長くなる程度の場合、そのまま同じ賃貸物件に住み続けるか、それとももっと近場に引っ越すかを考えることになります。引っ越すことで得られるメリットは、通勤時間が短縮されることで使える時間が増えることがあります。年間で計算すると、相当の時間を自由に使えるようになります。その時間を有効に使って自己投資に活用したり、趣味の時間を増やしたりできます。
他にも、引っ越しに伴って荷物を整理することができるメリットもあります。長く同じ部屋に住み続けていると、何かとモノが溜まってしまうものです。何かきっかけがなければ整理することができないという人も、引っ越しの際に思い切って不要なものを処分することもできます。
また、環境が変わることで生活習慣も変わる場合があります。例えばキッチンの設備が充実していたり、近場に安いスーパーがあったりすることで自炊を始めるというケースもあります。周辺に遊歩道があることで、散歩をしたりランニングを始めるきっかけができたという人もいます。あるいは通勤経路が変わることで、その途中の景色やお店などから色んな刺激を受けるようになるといったメリットもあります。これまでは無かった本屋に立ち寄ることで、本を読む機会が増えるといったこともあります。
もちろん、現在住んでいる環境に不満を持っているならば、引っ越しをすることで快適な環境を得られる場合もあります。音の問題は付きものですが、引っ越しによって静かな環境を得られる可能性もあります。
また、間取りが変わることで住みやすい住環境を手に入れることもできます。収納が少なくなれば、もう少し広い収納がある部屋を借りることができますし、それまで無かった寝室を別室として確保できるようにもなります。
結局どちらが得なのか
契約更新をする場合と引っ越しをする場合とを比べると、費用の面に関しては契約更新をした方が負担は少ないことが分かります。けれども損得を考えるならば、お金の面だけではなく生活環境なども考慮する必要があります。
大切なことは、いかに住みやすい環境を手に入れるのかということです。それが契約更新をすることで維持できるのであれば、そのまま住み続ける方が良いと言えます。けれども引っ越しをすることで問題が解決したり、悩みが解消されるようであれば、引っ越しを検討しても良いでしょう。
もちろん、住み心地というものは、住んでみなければ分かりません。引っ越しをしたからといって、必ず理想とする環境が手に入るとは限らないわけです。その点は理解しておく必要があります。
終わりに
引っ越しにかかる費用は、その時期によっても異なります。場合によっては契約更新よりも安く済む場合もあります。ただ、どちらが得であるかは人によって異なります。どのような住環境に住んでいるのか、あるいは職場が変わるなどの変化があるのかによって異なるというわけです。最終的に住み心地が良いと思われる環境を得られるのはどちらなのか、そんな観点から検討してみるのが良いのではないでしょうか。