いよいよ賃貸マンション探しの繁忙期が近づいてきました。年度末の引っ越しシーズンがいかに部屋探しに苦労するか、経験者でなければ分からないかもしれません。バーゲンセールや福袋の売り場をイメージしてもらえば良いかもしれません。多くのライバルが部屋探しに奔走し、早い人は2月から条件の良い物件を押さえています。その中でどのようにライバルに差をつけて、理想の部屋を探せば良いのかを考えてみましょう。
繁忙期での部屋探しはどうして大変なのか?
毎年2月から3月にかけては引っ越しのシーズンとなり風物詩とも言える時期になります。これは学校を卒業した新社会人が住まいを探したり、転勤のために転居するサラリーマンが新居を探すことが原因です。そのために部屋が空くことで多くの賃貸物件が賃借人を募集しますが、同時にそれを求める人も大量に発生します。そして引っ越しをしなければならない時期が決まっているので、条件の良い部屋はすぐに決まってしまうことにもなります。ゆっくりと空き部屋を物色しているような余裕はありません。内見して決めようかどうしようかと悩んでいるうちに、他の人に決められてしまうことも多々あります。
そのような慌ただしい時期に、どのようにすれば満足できる部屋を見つけることができるのでしょうか?
ネットの情報はあてにしない
通常は賃貸マンションを探す場合に、ネットで情報を集めます。そこで気になる部屋があれば、取り扱う不動産屋に連絡して内見をするという流れになるわけです。けれどもこの繁忙期では、ネットで気に入った部屋を見つけても、連絡してみるとすでに申し込みが入っているというパターンが多くなります。
これは不動産屋も接客で忙しく、ネットの情報更新まで手が回らないという事情があります。ネットだけで部屋探しをするということは、この時期は避けた方が無難です。そもそも、この繁忙期にネットでは条件の良い部屋はなかなか掲載されていません。南向きの部屋がほとんど見当たらないのはそのためです。では、どのようにして部屋探しをすれば良いのでしょうか。
繁忙期の物件探しは不動産屋を回るのが鉄則
繁忙期にネットはあまり役に立ちません。そこで直接、物件を扱う不動産屋を回ることが必要になります。
そのためには、まずエリアを限定することが必要になります。どの路線のどの駅周辺で部屋を探すのかを限定するわけです。そのためには、支払える家賃金額に応じた相場金額をある程度頭に入れておくことが必要です。どの範囲であれば自分が設定した家賃で住めるのかを調べておくわけです。
ちなみに、この繁忙期に募集される部屋は、全体的に家賃設定が高めになることを考慮する必要があります。黙っていても条件の良い部屋は借り手がつくので、オーナーも強気の家賃設定にすることがあります。それを見越してエリアを絞ることが必要です。
複数の不動産屋を回ること
賃貸マンションの情報は、ほとんどの不動産屋で共有しています。つまり、どの不動産屋に行っても大抵のエリアの物件探しはできるというわけです。
けれどもその他に、それぞれの不動産屋独自で抱えている物件というものがあります。オーナーから直接仲介を頼まれる、いわゆる専任契約と呼ばれる物件を持っているのです。これは仲介の契約を交わした不動産屋でなければ、賃借人を探すことができないものです。このような物件を不動産屋それぞれが持っているので、部屋探しをするエリア内の不動産屋には全て足を運ぶことが大事です。
ライバルに差をつける!物件の探し方
ここから本題です。この繁忙期にどのようにして理想の部屋を見つけるのかは、不動産屋でどのように行動するかにかかっています。
その方法は二つあります。
まず不動産屋に足を運び、気になる物件があればすぐに内見します。そしてそこでその部屋に決めるかどうか、すぐに決断することです。「一旦家に帰って検討します」ではライバルにその部屋を取られてしまうからです。
そしてもうひとつ、その不動産屋で気に入った部屋が見つからなかったとしても、もし何か募集が出れば連絡してもらうように頼むことです。引っ越しシーズンは、その間に引っ越しをして空き部屋が出るシーズンでもあります。探している間に部屋が無くなると共に、新たな空き部屋が出てくる時期でもあります。その中で条件に合うものがあれば、連絡をしてもらうようにすることです。
この二つの方法にも、それぞれに注意しておきたいポイントがあるので、詳しく挙げていきます。
求める部屋の優先順位を決める
引っ越しをするならば理想の部屋を探したい、誰もがそう思います。けれどもこの繁忙期に、完璧に理想とする部屋を見つけるのは、ほぼ不可能と言えます。もちろん運が良ければ見つかることもあります。先ほど述べたように、不動産屋に頼んでおいた空き部屋の連絡が来るといった形でも舞い込むこともあります。けれども、そのような奇跡を待っていては、条件の良い部屋は片っ端から決まっていきます。そこで、自分が求める部屋の条件として何を最優先にするのかを決めることが大事です。「駅からの距離」なのか「部屋の広さ」か、あるいは「日当たり」かといったように、具体的にひとつ決めることです。そして次に大事なことは、それ以外の条件は妥協しなければならないのかということです。
実は妥協せずに済む方法はあります。その代わりとなる条件を満たす物件を探すことです。
例えば駅からの距離を優先するために、家賃が予算よりオーバーするとします。ならば毎月の生活費を抑えることができるような激安スーパーが近くにある物件を探すといった工夫をするわけです。もちろん、そのような好条件の部屋が都合よく見つかるかはわかりません。けれどもいくつか候補があれば、選択しやすくなります。このように条件を絞り込むことで、内見した部屋がその条件に合うかどうかで即決することができます。
不動産屋では誠実な対応を
先ほど新たな物件が出たら、不動産屋に連絡をしてもらうことと書きました。けれども不動産屋の立場として考えると、ここで重要なことに気づきます。
繁忙期ですから、不動産屋のスタッフも来店するお客の対応に追われています。そして新しい部屋が出たとしても、たまたまその時に来店したお客が気に入れば、当然ながらそこですぐに内見してもらうことになります。わざわざ連絡するようなワンクッションを置かなくても、その場ですぐに決めてくれれば楽だからです。
ではそのような連絡を待つのは無駄なのでしょうか?
実はそうではありません。不動産屋は誰でも良いから部屋を紹介するわけではありません。もしその契約を交わした人が、家賃を滞納するような人だったらどうでしょうか。オーナーに対して責任を感じることになります。無闇やたらと賃借人を決めるわけではなく、きちんとした人物かどうかも実は見ているのです。となれば、物件の連絡を頼む際に何が大切かがわかると思います。
いかに誠実な人間であるかを、また、家賃はきちんと滞りなく払える収入があることをアピールしておくことが必要ということです。そのために、不動産屋を回る際にはその点を意識して振る舞うことが大切です。決して横柄な態度を取らず、真摯な姿勢で話をすることで、オーナーに安心して賃借人として紹介できる人物であることを印象づけることが大切です。ある意味これがライバルに差をつけるポイントのひとつでもあると言えます。運は自分の努力で引き寄せることができるということです。
紹介された部屋の断り方にもコツがある
これも不動産屋に対する印象を良くするポイントですが、せっかく紹介された部屋を断る場合には、その担当者も納得できるような理由を述べることが大事です。ただ何と無く気に入らないから、などと言っていては部屋探しの「本気度」が伝わりません。そのうちに条件の良い部屋は他の人に紹介されてしまいます。そこで、前もってどんな条件の部屋を探しているのかをきちんと伝えることが大切です。もちろんこの繁忙期に、夢見るような理想を語ることは避けるべきです。現実を見て条件を絞っていることが伝わるようにすることが大切です。
終わりに
このように、繁忙期での部屋探しにはいくつかの工夫が必要であることがわかります。まず理想とする部屋の条件は絞り込むこと、他の条件は代替案を考えておくことが大事です。そして運良く条件の良い部屋の情報が舞い込むように、不動産屋との対応には誠意を込めることが大切です。