私たちがふだん何げなく使っているマンションとアパートという言葉。実は法律的な区別はないんです。アパートはこじんまりしていて家賃が安め、マンションはしゃれたイメージがあって家賃が高めというのが通り相場ですが、不動産のルールである「宅地建物取引業法」にも、建築物のルールである「建築基準法」にも規定はなく、「共同住宅」「集合住宅」という同じカテゴリーに入っているのです。
それでは何かと不自由というわけで、世間でも不動産業界でも、暗黙の分類ができています。ざっと紹介すると、アパートは階数が2階までの木造、あるいは軽量鉄骨造りが中心なのに対し、マンションは建築規模が大きいものが多く、階数に制限はありません。木造マンションなどというのはなく、鉄筋コンクリート、あるいは鉄骨鉄筋コンクリート構造になります。
建築費がかかるのでマンションの家賃のほうが高いといわれますが、そうとも言えないケースもあります。同じ築年数だったらマンションのほうが高いのが一般的ですが、新しいアパートと古いマンションでは、アパートの方が高くなることも少なくありません。家賃は構造ではなく築年数と周辺の利便性で設定され、アパートだから、マンションだからということはないのです。
そういった条件を抜きにして、それぞれのメリット・デメリットを考えてみましょう。
家賃の手頃さが魅力のアパート
まずアパート。やはり最大のメリットは家賃が手ごろなこと。駅に近い、周囲の環境がいいといった条件のいいところでも、家賃と管理費・共益費を合わせてもお値打ちな物件が多いのです。
デメリットは、耐震性や防火面に不安が残ることや、隣の部屋との防音性の低さです。ハイツやコーポといったものもありますが、アパートの分類に入ります。
豪華さと安心のセキュリティーが魅力のマンション
一方のマンションは、先に書いたアパートのメリット・デメリットがちょうど裏返しになると思っていただけば間違いありません。近年のマンションはこれに加えて、オートロックや防犯カメラといったセキュリティー面の充実が目立ちます。中には豪華なロビーとコンシェルジュサービスを備えたマンションもあります。
一般的にはマンションのほうが豪華ものが多いですが、最近では「これがアパート?」とびっくりするようなデザインや設備が整った物件も増えています。マンションにするかアパートにするかは呼び名に惑わされずに、構造と住みやすさなどをじっくりと確認して選ぶべきでしょう。